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会社などで所属していると行動が制約されます。「自由にしていい」といわれても、結果的に管理されている場合があります。 大手スーパーにセルフレジが導入されるようになっています。買い物客が自分で商品のバーコードを読ませ、精算する仕組みです。それでなくてもスーパーは利益率の低い商売ですから、「それで損をしないのだろうか」と心配になりますが、ごまかす客はほとんどいないようです。
セルフレジに関しては、コンピュータによってしっかり管理されているせいもあるのでしょうが、たしかに人間の心理には、全面的に信頼されると心の中で自己規制が起こり、ごまかそうという気持ちが失われる傾向があります。
最近は、企業内の社員管理にも、この心理がさかんに利用されています。つまり、社員を自由にしていると見せかけて、実はいままで以上に管理しているわけです。この手法をセルフコントロール・マネジメントといいます。 @ 食堂のレジを廃止して自己申告で支払い ある企業が工場を新設した際、人員削減のために食堂のレジ係を廃止しました。支払いは自己申告で行われるようになりましたが、次第に回収金額が減ってきたのです。 そこである幹部は、「道義も地に落ちたものだ。君たちは恥ずかしくないのか!」という嘆きの言葉を社内報に掲載しようと考えましたが、熟考の結果、「昼食料金の回収率は何割」と客観的事実だけを掲載するに留めました。その結果、ごまかす社員がいなくなったそうです。 A タクシー代を使いすぎた営業マンの例 また、ある会社の管理職は、つきに10万円以上のタクシー代を使った営業マンを呼び出しました。彼は叱られるものと覚悟していましたが、その上司は「いくら使おうが、それ以上に稼いでくれればいい」としか言いませんでした。その結果、翌月から彼が使うタクシー代は半減し、売り上げは逆に伸びたのです。 しかし、好結果を出すため、営業マンは自分の肉体と時間を犠牲せざるを得ませんでした。 このように、セルフコントロール・マネジメントは、やりようによっては厳しい管理システムともいえます。優しい上司の心の中には、もしかしたら思いもしない計算が隠されているかもしれませんから、注意が必要でしょう。
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