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いきなり友人に「明日はどうする?」と聞かれたら、なんと答えていいかわからず、言葉に詰まるでしょう。こんな曖昧な言葉で問いかけるのは、会話のルール違反です。 「お前の話はいつも埒があかないよな」 「結局、何が言いたいんだよ。要点を言え、要点を!」 自分では的確に伝えているつもりなのに、こんな評価を受ける人がいます。たとえどんなに仕事ができたとしても、伝える力が不足していたら疎まれて当然といえるでしょう。 自動車が左側通行と決められているように、どんなことにもルールが存在します。あまり知られていないかもしれませんが、実は会話にもルールがあります。イギリスの哲学者・言語学者ポール・グライスが示したもので、「協調の原理」と呼ばれ、コミュニケーションの鉄則ともされています。 ★協調の原理は次の4つの公理からなります。 @ 量の公理 会話のやり取りでは、必要な情報を提供しなければならない。ただし、必要以上に多くの情報を出さないこと。「昨日のプレゼンはどうだった?」と聞かれて「午前10時に先方の会社へ到着しまして・・・」という情報を提供する必要はない。 A 質の公理 嘘は言わず、十分な根拠がないことも口にしないこと。プレゼンが大失敗だったにもかかわらず、「バッチリです!」と言うのは禁物。 B 関連性の公理 関連することだけを話し、関連性のないことは口にしないこと。プレゼンの結果を聞かれている場合、担当者の容姿を伝える必要はない。 C 作法の公理 不明瞭な表現や曖昧さを避け、短く整然と述べること。 どれも当たり前のことばかりですが、「言いたいことが伝わらない」という悩みを持っている人は、いずれかが不足していることが考えられます。
野球があまり得意ではない相手をキャッチボールに誘う場合、取りにくい球をいきなり投げると付き合ってくれません。そこで、最初は簡単な球で始めます。これが「ロー・ボール・テクニック」です。 あるファストフードチェーンで「○○がタダ!」というキャンペーンを実施したことがありました。看板に偽りはなく、週変わりでコーヒーやフライドポテトを無料で提供。それだけが目当てでも、店員さんたちは嫌な顔ひとつしなかったそうです。 しかし、商品を無料で提供して商売が成り立つわけがありません。にもかかわらず、なぜこんな暴挙に出ることができるのでしょうか。 ★実はこれ、心理学を巧みに利用した販売戦略なのです。 無料メニューに惹かれて店を訪れたお客さんのほとんどが、無料メニュー以外にドリンクやハンバーガーなどを購入するようになります。その結果、顧客単価はさほど下がらないのです。しかも「無料」に釣られて来店数は増えますから、最終的には売り上げはプラスになる可能性が高いのです。 このように、最初に好条件を提示して相手をその気にさせてしまうと、後に要求がエスカレートしても、相手は断りにくくなるという心理があります。 これは「ロー・ボール・テクニック」といわれます。
目上の人に口ごたえするのは勇気がいるものです。しかし、思い切ってそうすることが、逆にプラス評価につながります。実は、高圧的な人は自己主張をする人を求めているからです。 とにかくよく怒る上司や先輩がいます。朝から晩までガミガミガミ。こんな調子ではやる気を失ってしまって当然です。だからといって、口ごたえしようものなら、さらに攻撃が激しくなりそうで・・・。 高圧的な態度で部下や後輩を怒鳴りつける熱血タイプの人は、そうすることによって自分の地位や立場を確認しているケースが多いのです。そして、誰も口ごたえしないことで、「自分のやり方は正しい」と確認しています。 ★このような熱血タイプの深層心理を分析すると、その態度とは反対に、自分に自信がなく、常に「私の言っていることは本当に正しいのだろうか・・・」と不安を抱えています。わざと周囲を威圧するような態度を見せて、自分自身に「私は正しいのだ」と確認しているのです。 そんなとき、黙ってうつむいていたり、逃げるような態度を見せるのは逆効果です。そんなことをすれば、ますますいい気になって高圧的な攻撃を続けるようになります。不安はあるでしょうが、黙っているのではなく、はっきり自分の意見を出すように心がけることです。 「そんなことをしたら嫌われるのでは・・・・」と思うかもしれませんが、こうしたタイプは、実は部下や後輩とコミュニケーションを取りたがっています。しかも、はっきり自己主張する人を好む傾向があるので、心配は無用です。きちんと論理的な反論すれば、「おっ、コイツは見込みがある」と、評価は高くなります。 もうひとつ上司や先輩に見られるのが、自分の実力をひけらかすタイプです。このタイプは自分が一番だと思っているため、物事がスムーズに運ばないと「部下(後輩)が無能だから」と考える傾向があり、それが困りものです。 こんなタイプの上司や先輩を持ってしまったら、生き字引的な存在と考えて師事することです。彼らは、自分に挑戦しようとするタイプは敵とみなして徹底的に攻撃しますが、自分を慕う人は攻撃することがないからです。
「忙しいけど、頼まれると断らないんだよね」という人がいます。そう言いながらも、本人はまんざらでもなさそう。それは、頼みを聞くことによって「いい人」という評価を得られるためです。 何かを頼まれると断れず、次から次へ引き受けてしまう人がいます。そのときはありがたがられのですが、やることが増えすぎて、結局はどれも満足にできず、周囲に迷惑をかけるという繰り返しです。 もし、あなたがこのタイプだとしたら、早く考え方を改めるべきでしょう。こんなことを繰り返していると、周囲の信頼を失うばかりではなく、金銭的にも追い詰められる可能性があるからです。 ★頼まれごとを断れないのは、「いい人」という評価を受けることが大好きな証拠です。そうした評価が欲しい一心で、「自分の手に余るかもしれない」と思っていることでも、「任せておいてください」と応えてしまうのです。 このような行動を起こす心理の根底には、「人に嫌われるのが怖い」「人に拒否されたくない」という感情があります。 この感情は、友人や知人だけではなく、キャッチセールスや新聞の勧誘員にも持つものですから困りものです。そのため、このタイプの人のなかには、望まない商品を購入してしまったり、莫大な支払いを抱えたりする人も珍しくありません。 しかし、引き受けても結局できないのでは、嫌われることになりますし、自分では負担できない支払いを背負い込めば、家族や社会にも迷惑をかけるようになります。つまり、「いい人」という評価を得ようと思ってやったのに、結局は周囲から嫌われることになるのです。 人に好かれるために大切なことは、「自己開示」です。自分の本当の姿を相手に知ってもらうことこそが、相手の好意を得ることにつながります。しかし、できないことを引き受け、最後の最後まで「大丈夫」と嘘をつき続けるのは、自己開示を阻んでいることになります。 こんなときは、「自分の手に余る」「忙しくてできない」と、事実を言って断るべきです。「嫌われたらどうしよう」と思うかもしれませんが、一度や二度、頼みを断ったくらいで嫌われる相手なら、最初から付き合う価値などないと考えるようにしましょう。
客が不満を持っている場合、たとえそれが理不尽な内容だとしても、まずはそれをすべて吐き出させることが重要です。さもないと、客はいつまでも満足することができません。 客のクレームにどのように対応するかで、企業のイメージが左右されることがあります。たとえば以前に、ある大手家電メーカーの担当者が客に暴言を吐き、不買運動につながったという例がありました。 いまだにこの件は「○○クレーマー事件」としてインターネットユーザーを中心に語り継がれていますから、まさに負心理はの典型といえるでしょう。 今後、事を起こさないためにもクレームには慎重な対応が求められます。とはいえ、客の指摘がすべて正しいとはかぎりません。客が一方的に勘違いや思い違いをしてクレームをつけてくることもあるでしょう。 しかし、そもそも客は「自分のほうがメーカーより立場が上で、意見を受け入れてもらって当然」と考えています。誤りを指摘すれば客は自尊心を傷つけられたと感じ、怒りは増すばかりです。 ★こんなときには「イエス・バット法」や「イエス・アンド法」といわれる対応があります。 イエス・バット法とは、相手の言い分をひとまず認めてから、こちらの意見を伝える会話テクニックで、「お客様のおっしゃることはよくわかりました。しかしながら、そのような場合には、こうしていただくのがよろしいかと存じます」という使い方をします。 また、「イエス・アンド法」は、「お客様のおっしゃることはよくわかりました。それなら、このような方法はいかがでしょうか」という使い方です。 どちらも相手の意見を受け入れたという姿勢を見せているので、カルタシス効果によって気持ちがスッキリし、それだけで怒りがある程度収まります。とくに、イエス・アンド法は「しかし」という否定的なイメージを与える言葉を使わず、さらに説得がしやすくなると考えられています。 |
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