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「われわれ」とか「私たち」という言葉には、相手を自分の味方に引き入れたいという心理が働いているようです。 会話の中で「私たち」などと言われると、すでにそのグループの友達であるかのような錯覚に陥り、つい自分も同じ仲間であると感じてしまうようなものです。
そして、この心理的効果を知ってか知らずか、「われわれ」とか「私たち」という言葉を多用して使う人は、仲間意識を大切にする人です。 逆に言いますと、自分ひとりで、個人的に動くのは、あまり好きではないタイプです。 いつもグループで動きたいし、いつも仲間に囲まれていたいという心理を持っている人です。
よく会社の経営陣と労働組合が交渉するような場合、労働組合側は、つねに「われわれの要求は・・・・」などという言い方をしますが、これはより多くの人の要求を代弁しているように聞こえます。 これは、日常生活や会社でのビジネス交渉などでも、「私たちの提案した新企画では・・・」などという言い方をしますが、これらは自分ひとりの計画ではなく、みんなの総意で決まった計画だということを主張しており、自分の意見をどうしても通したいときの気持ちを強く表しているものです。
@ 責任を自分ひとりで被らずに、仲間にも被らせようとしている チームリーダーが「私たちは、売り上げを伸ばすために、日夜、新開発に取り組んでいるのですが、もう少し時間をください」などと言う場合には、既に逃げ腰になっており、責任を回避しようとしています。 ただし、責任を回避するといっても、自分一人の責任ではないということを「私たちは」ということで、暗にほのめかしているのです。 つまり、これは「私ひとり」の見解ではなく、「私たち」みんなで取り組んだ結果ですから、という逃げ腰の姿勢が表れているのです。 A 大衆を先導するリーダーの場合は、力強い説得力として利用している 政治家などがよく街頭演説で使うパターンですが、「私たちが国民の生活を守るために立ち上がれば、消費税など増税しなくてもしっかりやっていけるのです」などと、声を大にして演説している風景をよく見ます。 この「私たち」と語りかけているのは、自分を含め、聞いている聴衆をも含んだ語り口であり、強いリーダー性を発揮するための一つのアピール方法であります。 聞いているほうは、この言葉で、強い安心感を覚えるだけでなく、任せてみたいという気持ちになるのです。 政治家としては、最高のパフォーマンスにもなるでしょう。 |
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